鳥取市立若葉台小学校
「特別の教科 道徳」における探究的な学びとICT活用②
本校では月に1回ミニ授業研究会を行い、普段の授業を変えることによって、学習者にとっての学びの充実にアプローチしています。7月は第2学年と第5学年の道徳科でした。
第2学年では、主題名「わけへだてのない心」、内容項目【C-(11)公正、公平、社会正義】(教材名:「ずるい?ずるくない?」)の学習について、チームで研究を行いました。授業づくりの視点は次の3点でした。
・授業と家庭学習とをつなぐ準備学習が生み出す主体的な学び
・NHK for Schoolのコンテンツとカード共有アプリの活用
・多面的・多角的な思考を生み出す工夫
今回は、家庭学習の中で本時の教材であるNHK for Schoolのコンテンツを事前視聴するようにしました。この準備学習によって、子ども達は教材の中にある道徳的価値を含む問題点に着目してきた状態から学習をスタートすることができました。
授業の「課題の設定」の場面では、子ども達は事前アンケートをもとに自分たちの日常を想起し、「『ずるい』と感じるのはどんなときなのだろう。」などの課題意識から、「公平にする」とはどうすることかを考えていくという学習課題を設定しました。
この学習課題の解決に向けた「情報の収集」の場面では、教材のコンテンツの前半を分割視聴し、自分の考えをワークシートに書いたり、心のものさしに表したりすることで、友達との考えの違いを明らかにしながら話し合いました。その後、コンテンツ後半を視聴し、中心発問に対する自分の考えについて賛成・反対の立場を明確にしながらカード共有アプリで書きました。教師が賛成・反対それぞれのカードを色分けして子ども達に配信しておいたことで、子ども達にとって効果的な視覚的支援となっていました。
「整理・分析」の場面では、教師の様々な支援によって自ずと考えの理由に目を向けながら話合いを進めることができ、多面的・多角的な思考が促されていきました。「まとめ・表現」の場面でも、学んだことを確かめる中で、「課題の設定」段階での自分たちの課題意識に立ち返って考えたり、自らの生活を振り返って考えたりする姿が見られました。
カード共有アプリは低学年の発達段階に適したツールの一つであり、本校では多くの学習で積極的に活用しています。子ども達自らこのツールを選択し、自由に活用する姿も見られています。利点が多い一方、途中参照することができないという問題もあるため、本校では、3年生以降の学習では途中参照しやすいツールの活用頻度を高めるようにしています。
「特別の教科 道徳」における探究的な学びとICT活用①
本校では月に1回ミニ授業研究会を行い、普段の授業を変えることによって、学習者にとっての学びの充実にアプローチしています。7月は第2学年と第5学年の道徳科でした。
第5学年では、主題名「責任ある自律的な行動」、内容項目【A-(1)善悪の判断、自律、自由と責任】(教材名:「アップするの?」)の学習について、チームで研究を行いました。授業づくりの視点は次の3点でした。
・授業と家庭学習とをつなぐ準備学習が生み出す主体的な学び
・Google スライドによる他者参照を生かした学習展開
・情報リテラシーの育成
子ども達は学習をより深めるため、事前に家庭で教材を読み、「この教材の人物に共感できるか」という視点でGoogleスライドに書き込んでいました。このスライドは他者参照できるため、事前に友達の考えと自分の考えを比較したり、友達の考えに触れることによって改めて考え直したりしている子ども達もいました。
教師は準備学習のGoogleスライドで子ども達の思考過程や疑問や考えを予め把握し、教材研究をさらに深めた上で授業に臨むことができます。そのため、教師は子ども達に委ねながら、思考過程を把握し、考えを深める必要があるところで効果的に揺さぶったり問い返したりして学習をコーディネートしていくことができました。子ども達にとっても他者参照できるGoogleスライドは学習中のよい手がかりとなっており、子ども達は自ら他者参照を行い、友達の様々な考えを自らつかみ取り、自分の考えを再構築することに役立てていました。
本校では、学習の準備をしてくる家庭学習のことを準備学習と呼んでいます。この学級の道徳科の学習では、準備学習の内容や手立ては様々ですが、この準備学習によって探究的な学習の過程がより明確に位置付けられ、主体的な学びの姿や探究的な学びの姿が多く見られるようになってきました。もちろん、これらの学びの変容は、教師の教材研究と授業改善への努力あってこそのものです。
今後も、我々自身の教材研究力を高めながら、準備学習やICT活用による他者参照を有効活用し、子ども達の主体的な学びや協働的な学び、探究的な学びにつなげていこうと考えています。
小学校教育スタート期における探究的な学びとICT活用②
本校では、探究的な学習の過程を意識しながら、コンテンツ動画やデジタル教科書を取り入れた授業づくりにも取り組んでいます。
6月に実施した1年生の国語科「つぼみ」の単元では、単元の導入時にNHK for Schoolのコンテンツ動画を活用し、つぼみの開花動画を視聴するようにしました。その際、一時停止しながら、「これは、なんのつぼみでしょう。」「これは、○○のつぼみです。」と、教材の表現を取り入れながらクイズを行い、教材への関心を高め、知的好奇心を喚起するようにしました。その後、つぼみの写真から予想される花の様子をイメージしてJamboard上に描き、友だちと見合いました。この活動を通して、教材への関心がさらに高まるとともに読み進めていくことへの課題意識が生まれ、学習課題の設定につながっていきました。
学習課題の解決に向けた情報の収集、整理・分析の学習活動として、教材の三つの事例を一つずつ読み、構成を理解しながら内容を捉えていくため、デジタル教科書を活用しました。
一つ目の事例を読み進めながら捉えた構成を、デジタル教科書に書き込むようにしました。書き込み方が分かった子ども達は、次時のための準備学習として家庭でも教科書の内容を自分なりに読み進め、デジタル教科書に書き込み、分からないところを見つけるようにしていきました。この準備学習をもとに展開していった学習では、子ども達の学びに向かう姿が、より一層主体的、探究的なものになっていきました。
小学校教育スタート期における探究的な学びとICT活用①
1年生のスタートカリキュラムの時期は、幼児期に育まれた資質・能力や、意欲、主体性が発揮される姿を特に大切にしながら、子ども達の中からわきあがる意欲や好奇心を生かした働きかけに重点を置くことで、主体的な学びにつながるようにしています。その中で、子ども達は次第に、「もっと考えたいな。」「他にはないか考えてみよう。」という思いをもち、自分で考えたり周りの人にヒントをもらったりして課題解決していくようになります。本校では、これらの姿も探究的な学びにつながる大切な姿と捉え、このような学びを支えるための一人一台端末の活用を進めています。
4月中旬にタブレット端末を使うときの約束について学習し、その後、心と体の健康観察のために端末を活用しながらGoogle ClassroomやGoogle Formsなどの使い方に慣れるようにしていきます。5月に入ると、端末のカメラ機能や写真編集の機能を学習の中で少しずつ取り入れ、5月中旬には端末の持ち帰りとともにGoogle Classroomでの連絡・おたより配信を始めました。
「先生、タブレットで写真を撮ってもいいですか?」
端末活用に慣れてきた頃のことです。休憩時間に、あさがおの芽が増えたことに気付いた子ども達は、課題の解決に向けて最適な方法を見つけ、自ら動き出しました。手で書く・描くことももちろん大切にしていますが、端末を学習道具の一つとして使うことで学習方法の幅が広がっていることも間違いありません。アナログとデジタル、両方のよさを取り入れて探究的な学びにつながる学習を展開することで、子ども達自らが最適な方法を選択して課題解決していく力も育んでいるところです。