鳥取市立若葉台小学校
主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びをめざして⑤
令和6年12月2日に、岡山大学 教授 髙旗浩志 氏をお迎えし、第2回全体研究会を行いました。
ここでは、当日の研究授業と授業研究会について御紹介します。
<研究授業について>
・第6学年国語科 単元名「相手や目的を明確にして、すいせんする文章を書こう」
教材名「おすすめパンフレットを作ろう」第4時(全6時間)
・本時のねらい: 推薦文を友達と推敲し書き上げる活動を通して、考えが伝わるように情報を引用したり図表を用いたりするなど書き表し方を工夫することができる。【思考力・判断力・表現力等】
・実際の授業における「課題の設定」場面では、準備学習でGoogleスライドに文章を書いてみて困ったことを出し合いながら、解決したい課題を見出し、児童が自らの課題意識をもとに学習のめあてをつくっていきました。「情報の収集」「整理・分析」の場面では、よりよいパンフレットとなるように修正点をグループの友達と話合い、まとめ・表現の場面ではスライドを修正していきました。振り返りの際は、学習前のスライドと学習後のスライドを比較して学んだことを振り返ることができるようにしました。
<髙旗教授の指導助言より>
・学習指導案が緻密で丁寧に書かれている。理想の着地点である「単元観」、国語科における実態やICT活用に関する実態を示した「児童観」、そして、単元観と児童観の間にあるギャップを埋めるための研究仮説である「指導観」が見事に描かれている。しかし、児童の思考過程は、教師にとって都合のよい反応ばかりになっている。困っている反応や間違っている反応、共有するとより学ぶことのできる反応を重視した方がよい。
・単元全体のゴールを確認したり、準備学習での取組内容を確認したりすることが毎時間のルーティンになっているのならば、もっと児童に委ねる。児童が言葉を紡ぐことで、本当の思考にしていく。活動時間は児童に自己決定させていてよかった。
・本時の学習の中心である推敲について、学習指導要領の指導事項を十分に確認しておく必要がある。児童が書いてきた文章は、推敲する余地のある文章ではなかったかもしれない。また、推敲の作業こそ、タブレット端末ではなく紙で行うべきではないか。
・小グループでの学習活動が、「捨てさせる話合い」ではなく、「重ね合う話合い」になるようにしたい。そして、学習する主体を育む授業をつくっていってほしい。
<本校の教員の振り返りから>
・ICT活用をするべき場面と紙に向き合いじっくりと考えるアナログな場面、力をつけるために適した活動を児童の様子に照らし合わせて考えなければならないと改めて考えました。
・グループの先生方と話し合いをしながら、児童に付けたい力は何なのかを考えさせられました。構成を考えて文章を書く力、文章を推敲する力は下の学年でも学習することであり、積み重ねは大切だと改めて感じました。また、髙旗先生のお話から、ICTよりも紙の方がよいこともあると気付かされました。書くことや推敲することは紙と向き合った方が力になる……「確かに」と思いました。ICT活用が謳われている昨今ですが、今一度考え直してみたいとも思いました。
・髙旗先生から、学習指導案の「予想される児童の反応」は、困っている反応や間違っている反応、共有するとより学ぶことができる反応こそ書くべきではないかとの助言をいただきました。まさにその通りだと感じています。しかし、それらの姿を想定するためには、理想的な反応をイメージできている必要もあります。そのどちらも想定できるようにするためには、日々の教材研究と、子どもの姿から学ぶ姿勢が不可欠だと感じています。「学習者理解の幅を広げる」とのお言葉もいただきました。私たちが目指す学習、授業を実現するために、より一層、学習の主体である子どもたちの姿、思考、背景を読み解きながら実践を積んでいきたいと思います。
<研究授業を通して>
髙旗教授からは、学習指導案で授業者の考えを言語化し、チームで繰り返し検討する作業を通して教材研究を深めていこうとしている本校での取組を価値付けていただきました。また、準備学習を活用して児童の課題意識を引き出し、めあてづくりにつなげようとしている取組をもっと前進させるようご助言いただきました。さらに、指導事項への十分な理解や学習者理解の幅を広げること、デジタルとアナログの適切な選択など、今後の課題についても示していただきました。
今後も、児童の資質・能力を育成するための学習者主体の授業づくりについて、一人一台端末も活用しながら研究を深めていきたいと考えています。
主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びをめざして④
令和6年12月2日に、岡山大学 教授 髙旗浩志 氏をお迎えし、第2回全体研究会を行いました。県内外から多くの御参加をいただき、子ども達の姿から本年度の研究成果と課題を見出し、次の一歩を踏み出すための学びを得ることができました。ここでは、当日の公開学習について御紹介します。
<公開学習について>
本校では、Google workspace、NHK for School、デジタル教科書、教科書のデジタルデータ、カメラ機能、地域で取り入れているファイル共有アプリ 等、を取り入れた授業づくりを日常的に行ってきています。発達段階や学習内容にもよりますが、児童が自ら選択して活用することも当たり前の光景になっています。また、単元(または題材)でも、1時間の授業でも、探究的な学習の過程を踏まえつつ、家庭で一人一台端末を活用して行う「準備学習」を位置付けた学習展開についても研究してきました。
公開学習は次のような内容でした。
・特別支援学級(知的):算数…ファイル共有アプリを活用し、考えを共有しながら思考を深める。
・特別支援学級(情緒):国語…自分が伝えたい内容に適した資料をCanvaで整理する。
・1年:国語…家庭での準備学習で、デジタル教科書に分からないことを書き込み、事前にファイル共有アプリで共有。授業の導入で準備学習を通した疑問を出し合い、児童がめあてをつくり出す。デジタル教科書やファイル共有アプリは、児童が必要に応じて活用。学習のまとめもファイル共有アプリに書き込むことを毎時間積み重ね、単元全体のまとめでも活用。
・2年1組:国語…NHK for Schoolの動画クリップを活用して本時の学習内容に対する関心を高め、個→グループ→全体と、話合いの形態を変えながら理解を深めていった。
・2年2組:国語…準備学習で教材を読んで、気付いたことやみんなで考えたいことを出し合い、児童がめあてをつくり出す。ファイル共有アプリで他者参照しながら考え、話し合うことで、課題を解決していった。
・3年1組:国語…準備学習で調べてきたことを出し合い、児童自らがめあてをつくる。NHK for Schoolの動画クリップを視聴することで学習内容の理解につなげるとともに、本時のねらいに沿った学習活動が展開されるようにした。
・4年:国語…単元の第1時。準備学習で教材を読んでおき、感想をGoogleスライドに入力し、事前に共有。この感想を板書で整理しながらさらに共有することで、課題意識をもたせ、単元のゴールと学習計画を児童自ら考えるようにした。
・5年1組:社会…準備学習でNHK for Schoolの動画クリップを視聴して分からないことや気になることを見つけておき、授業の導入でそれらを出し合うことでめあてをつくる。ファイル共有アプリで他者参照しながら話し合い、学習問題づくりにつなげていった。
・5年2組:道徳…事前にGoogleフォームでアンケートを行ったり、Googleスライドに書き込まれた友達の考えを準備学習で読んでおいたりした。これらを「課題の設定」時に活用することで、学習のねらいの達成につながる学習活動を展開するための原動力となる課題意識を強くすることができるようにした。
・6年:社会…準備学習をもとに、分からなかったことや気になったことを出し合い、めあてづくりにつなげた。その後、NHK for Schoolの動画クリップを活用して情報を収集し、ファイル共有アプリで考えたことを説明し合った。振り返りは他者参照できるようにスプレッドシートに入力した。
<公開学習 授業者の振り返りから>
・子ども達が自分の学びに向かっていると感じました。準備学習を一人一人の安心につなげたり、分からない不安をお互いが共有できるようにしたりする取組を続けていきたいと思います。
・「①準備学習を通して分からないことを見つける。 ②分からないことを教室で表明し出し合う。 ③分からないことから学習したいこと(課題)を見つける。 ④見つけた課題をもとにめあてを考える。」という学習の流れが少しずつ子どもたちに落ちてきたように感じました。何のために、どのような活動を通して学んでいくのかを自分たちで考えるのだという意識が芽生えてきている子どももいます。その一方で、見える学力の定着と伸びには依然として大きな課題があります。主体的、協働的、探究的な学びを通して、資質・能力を確実に育成できるようにするための素地づくりにさらに力を入れていきたいと感じました。
本校で力を入れて取り組んでいる「準備学習」は、予習ではありません。授業で分からないことや考えたいことを出し合えるように、家庭で準備しておく学習です。この準備学習によって、「課題の設定」を児童主体で行うことができるようになってきました。また、準備学習をする際、ICTを活用すると他者参照が容易なため、友達の分からなさや思いにも予め触れておくことができます。さらに、教師は事前に子ども達の思考をつかんでおくことができるため、授業をコーディネートしやすくなります。
「準備学習×ICT活用」は、主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びを生み出すための方策として、非常に有効であると感じています。
御指導いただいている岡山大学 髙旗浩志 教授からいただいた言葉をご紹介します。
「授業を楽しくするのは、自分たち。そのために、準備する。」
日々の準備学習を生かして学習者主体の学習にしていくことで、この言葉の意味を児童が実感できるようにしていきたいと改めて感じています。
主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びをめざして③
令和6年9月24日に、岡山大学 教授 髙旗浩志 氏をお迎えし、第1回全体研究会を行いました。ここでは、当日の授業研究会について御紹介します。
<髙旗教授の指導助言より>
・勉強と学習は違う。学習は友達と行うものであり、みんなで話し合い、答えを見つけていくものでもある。だからこそ、知らなかった答えが見つかる。
・知識のないところに活用はない。知識伝達型の授業も必要だが、子ども達の思考が働いているかは確認しなければならない。習得型、活用型、探究型それぞれの授業の割合は、発達段階によっても変わるだろう。教師は、それぞれの授業スタイルの意義や価値を理解しておく必要がある。
・一人一人の学び方の個性を受け入れ、個別最適な学びを実現する。そのためにも、準備学習は有効であり、準備学習で学んだことを出し合い、友達と照らし合わせていく。
・考えるための技法、学び方、思考するための手立ては、総合的な学習の時間のみならず、すべての教科指導で日々取り入れる必要がある。そうして身に付けた力を総合的な学習の時間で発揮していく。
・自分で自分の学習を組み立てていく学習力は、学び取る力ともいえる。この学び取る力を高めていきたい。
・子ども達の中にある間違い集めをし、その中でどんな思考が働いていたのかを考え、教師同士で共有していくとよい。
<御参加のみなさまから寄せられた授業研究会についての御意見・御感想より>
・これからの授業観・指導観について改めて考える時間となりました。「勉強と学習」の違いや「学力と学習力」、「行間を読む力」など、日々意識して授業づくりをしていきたいと思います。
・授業の具体的な場面を取り上げて、その意義や課題を説明してくださったので、とても分かりやすかったです。授業者はもちろん、本時だけでなく、学校の研究の取り組み、チームとしての研究の姿勢がとても伝わり、参考になりました。
・他県の先生方とも意見の交流を図ることができより良い研究会になりました。また、指導助言の先生より学習方法について様々な示唆に富む助言を伺うことができ今後の授業に役立てることができると感じました。
・同じグループの先生方と意見交流したり、他のグループの意見を見ることができたりして、自分だけでは気付かなかった子どもの姿を知ることができました。髙旗教授のお話もとてもわかりやすく、自分の考えを整理することができました。私たちも想像できない未来に、力強くしなやかに生きていける子どもたちを育てたいと改めて思いました。
・めざす授業が学校内で明記され、共通実践されていることが素晴らしいですし、研究のあるべき姿だと思いました。
<本校の教員の感想より>
・研究協議では、まずはAやBの評価基準を明確にする必要がある、コンテンツを自由に選ぶ力も育成したい、などの意見が出ていました。いろいろな方の意見を聞いて少しずつ実践していきたいと思います。Google Workspace等いろいろとアップデートされていくが、自分の中ではアップデートしきれていない部分があります。チャレンジして使用し子ども達の学びへとつなげていきたいと思います。
・他地域の方々との協議は、自分たちの取組や考えを見直したり振り返ったりするためのよい機会となりました。考え方や視点、実践内容の違いによって、子どもの姿も様々な捉え方ができたことは、一つの成果だったように思います。
・髙旗先生のご指導にはいつも新たな気付きをいただきます。「みんな」を主語に入れためあてにすることで、児童も自分だけじゃないという意識になったと思います。「書くこと」を求めすぎていないか、児童の思考を狭めていないか、親切過ぎていないか、自らの授業を振り返りました。
今後も、主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びの姿を視点に置いた授業改善を継続するとともに、探究的な学習の過程を踏まえた意図的・計画的な学習を蓄積しながら、学びを支える効果的なICT活用の取組を一層深めていきます。
次回の全体研究会は、12月2日の予定です。一人一人の子どもが主語となる授業づくりを、日々積み上げながら、研究会で立ち止まり、それまでの歩みを確認するとともに、今後進むべき道を見出していきたいと考えています。
主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びをめざして②
令和6年9月24日に、岡山大学 教授 髙旗浩志 氏をお迎えし、第1回全体研究会を行いました。
ここでは、当日の研究授業と授業研究会について御紹介します。
<研究授業について>
・第3学年社会科 単元名「店ではたらく人」第7時(全14時間)
・本時のねらい:図書資料を活用したりNHK for School のクリップ動画を視聴したりしてスーパーマーケットの売り場の工夫の意図について調べる活動を通して、商品の売り場は消費者の多様な願いに応えるためや店の売上向上のために様々な工夫をされていることを理解し、まとめることができる。【知識・技能】
・実際の授業においては、めあてを確認した後、活動の時間配分を児童と決定しました。家庭での準備学習として「売り場の工夫のわけ」を考えてくることに取り組んでいたため、本時は準備学習で考えたことをグループで共有したり、話し合ったりすることを活動の中心に据えました。グループ活動後、売り場の工夫をJamboardを活用してグルーピングし、学習のまとめを行っていきました。
<髙旗教授の指導助言より>
・研究授業前の4校時は、授業に関係のある私語が活発に交わされており、課題に向かっていこうとする子ども達、学習集団の雰囲気がよく、距離感が近い子ども達に育っていると感じた。
・準備学習でのワークシートが充実しており、一人一人が自分事として工夫の理由を考え、見通しをもって取り組んでいた。書けているところ、書けていないところがあることが大切であり、互いにそれを開示することから学習が進んでいくことのよさを見ることができた。
・めあての「みんなができるように」という言葉は、児童が互いを気にかけながら学習に取り組むことを大事にするための言葉。授業の中で困っている子どもがいれば、誰もが手を差し伸べなければいけない。
・めあてを明確にすることや、課題の吟味も重要。また、深いところまで考えられるようにするための発問も用意しておきたい。
・学習活動に必要な時間を児童とやりとりしながら配分していた。児童に時間感覚を育てて欲しい。
・理由と根拠を語らせることが大切で、このことを共有しながら話し合うようにしていたのが良かった。
・準備学習は自力解決の部分を担っていた。自力解決が充実していると、友達と気兼ねなく話し合える。自分が考えた手応えがあれば、自信をもって他者と学び出す。これを共有し合う場面はいい光景だった。
・仲間分けでJamboardを活用した場面では、一人一人が課題に集中しようとしていたため、グループの友達との活動が見られなくなってしまった。Jamboardの工夫が必要だった。
<本校の教員の振り返りから>
・児童自ら学習活動のタイムスケジュールを設定するなど、見通しをもって学習に臨めていたと思います。Jamboard操作後の話合い活動がもう少し活発になれば、より大きな効果を得られたと感じました。
・準備学習も含めて、児童は、単元を通した課題をしっかり芯に持ちながら学習を進めているのが参考になりました。指導案検討も時間をかけて行い、私たち教師も何を大事に授業を構成していくのかが、少しずつ掴めてきたようにも思います。
・児童の姿を見ると、自分が調べてきたことや考えてきたことを友達に伝えることはできていました。しかし、友達の考えを自分の中に落とし込んで考えたり、よく分からないことを突っ込んで聞き返したりする姿は、ほとんど見られませんでした。「探究的に学ぶ姿」とはどんな姿なのか、児童の話合いをどう鍛えていけばよいのか、自分の学級の児童の姿を思い浮かべながら参観しました。研究を進めていく上での課題が少し、見えてきた気がします。
<研究授業を通して>
髙旗教授からは、研究授業における子どもの姿を通して学習の本質や授業づくりの考え方について紐解きながらご指導いただき、自分自身の授業づくりの在り方を改めて振り返ることができました。主体的な学びにつながる準備学習の有効性や効果的な取り入れ方も確認できました。一方、協働的な学び、探究的な学びの姿を生み出すための、めあてづくりや発問の吟味、ICT活用の工夫といった課題も明らかになりました。これらの成果と課題を踏まえながら、日々の授業づくりと向き合い、学習改善を目指していきたいと思います。
主体的な学び、協働的な学び、探究的な学びをめざして①
令和6年9月24日に、岡山大学 教授 髙旗浩志 氏をお迎えし、第1回全体研究会を行いました。県内外から多くの御参加をいただき、子ども達の姿から本校の研究の現在地、成果、課題を見出すことができました。自校だけでは得られない新たな視点や考え方に触れられたことによって自らを振り返る材料を得ることができ、多くの方からのお力添えは非常にありがたいものだと改めて感じました。
ここでは、当日の公開学習について御紹介します。
<公開学習について>
午前中は全学級の通常の授業を公開しました。本校では普段から、・Google workspace ・NHK for School ・デジタル教科書 ・教科書のデジタルデータ ・カメラ機能 ・地域で取り入れているファイル共有アプリ 等、学習のねらいや児童の実態、発達段階等に応じたツールを必要に応じて取り入れながら授業づくりを行ってきています。また、授業における学習がより深まるようにするため、家庭で行っている「準備学習」を取り入れた学習展開についても実践を積み上げようとしています。
公開学習は次のような内容でした。
・特別支援学級(知的):国語…ファイル共有アプリを活用し、気付きを共有。
・特別支援学級(情緒):道徳…教科書のQRコードから動画クリップを活用。ファイル共有アプリで感想入力。
・1年:国語…準備学習でデジタル教科書に書き込み、事前にJamboardで共有。授業の導入で事前学習を通した気付きや疑問を出し合う。デジタル教科書、Jamboardは、授業でも児童が必要に応じて活用。
・2年1組:国語…準備学習で日記を振り返り、ファイル共有アプリで事前に共有。授業ではNHK for Schoolの動画クリップも活用。
・2年2組:国語…準備学習で教材を読んで、これから考えたいことや気付いたことをファイル共有アプリで事前に共有。
・3年1組:算数…導入でNHK for Schoolの動画クリップを視聴した後、デジタル教科書を活用。
・4年:道徳…準備学習で自分なりの考えをGoogleスライドに入力し、事前に共有。授業ではJamboardも活用。
・5年1組:社会…情報を収集する際に、NHK for Schoolやインターネットを活用。他者参照をするためにファイル共有機能も活用。
・5年2組:図画工作…準備学習で感想をGoogleスライドに入力し、事前に共有。導入で友達が入力していた内容について感想を伝え合う。
・6年:体育…・導入でNHK for Schoolの動画クリップを視聴。その後、運動の様子を動画撮影し、活用。
<公開学習 授業者の振り返りから>
・準備学習に子どもたちが進んで取り組めているかは、まだまだ初期段階だと思い、反省の毎日です。しかし、学習の中で子どもたちが準備学習を活かす場面や瞬間があったと思っています。そこをしっかりと見取り、評価することが、子どもたちの成長につながるものと考えます。
・NHK for Schoolを活用した国語科の学習をしましたが、児童が自分の日記を振り返りながら、自己の課題を意識しながら気持ちをもう少しくわしく伝えようと主体的、意欲的に取り組む姿が見られたという意味では、とても良かったと手応えを感じています。
・準備学習を位置付け、授業の導入で分からないことや気になったことを確認したことにより、子ども達が本時の学習の意義をより明確に感じ取ることができていたように思います。また、それらをめあてづくりに生かすか、学習活動として取り入れるかも子ども達と吟味することができました。今後も、子ども達自らがめあてと活動をつくっていく力を養っていきたいと考えます。
・準備学習でのデジタル教科書書き込みやJamboard活用、それらを本時の中でも参考にする姿からは、普段の何気ない取組が子ども達の当たり前の活動として定着してきたことや、自然と自分の学習方法として取り入れ始めていることが窺えました。
本校では、児童の学びの姿に注目しながら、学習のねらいを達成するための学びを支える道具としてのICT活用を探っているところです。この公開授業を通して、効果的なICT活用を見出すためには、児童の学びの姿を見取り価値付ける力や教材研究力を高めることが大前提だと改めて感じることができました。
「特別の教科 道徳」における探究的な学びとICT活用②
本校では月に1回ミニ授業研究会を行い、普段の授業を変えることによって、学習者にとっての学びの充実にアプローチしています。7月は第2学年と第5学年の道徳科でした。
第2学年では、主題名「わけへだてのない心」、内容項目【C-(11)公正、公平、社会正義】(教材名:「ずるい?ずるくない?」)の学習について、チームで研究を行いました。授業づくりの視点は次の3点でした。
・授業と家庭学習とをつなぐ準備学習が生み出す主体的な学び
・NHK for Schoolのコンテンツとカード共有アプリの活用
・多面的・多角的な思考を生み出す工夫
今回は、家庭学習の中で本時の教材であるNHK for Schoolのコンテンツを事前視聴するようにしました。この準備学習によって、子ども達は教材の中にある道徳的価値を含む問題点に着目してきた状態から学習をスタートすることができました。
授業の「課題の設定」の場面では、子ども達は事前アンケートをもとに自分たちの日常を想起し、「『ずるい』と感じるのはどんなときなのだろう。」などの課題意識から、「公平にする」とはどうすることかを考えていくという学習課題を設定しました。
この学習課題の解決に向けた「情報の収集」の場面では、教材のコンテンツの前半を分割視聴し、自分の考えをワークシートに書いたり、心のものさしに表したりすることで、友達との考えの違いを明らかにしながら話し合いました。その後、コンテンツ後半を視聴し、中心発問に対する自分の考えについて賛成・反対の立場を明確にしながらカード共有アプリで書きました。教師が賛成・反対それぞれのカードを色分けして子ども達に配信しておいたことで、子ども達にとって効果的な視覚的支援となっていました。
「整理・分析」の場面では、教師の様々な支援によって自ずと考えの理由に目を向けながら話合いを進めることができ、多面的・多角的な思考が促されていきました。「まとめ・表現」の場面でも、学んだことを確かめる中で、「課題の設定」段階での自分たちの課題意識に立ち返って考えたり、自らの生活を振り返って考えたりする姿が見られました。
カード共有アプリは低学年の発達段階に適したツールの一つであり、本校では多くの学習で積極的に活用しています。子ども達自らこのツールを選択し、自由に活用する姿も見られています。利点が多い一方、途中参照することができないという問題もあるため、本校では、3年生以降の学習では途中参照しやすいツールの活用頻度を高めるようにしています。
「特別の教科 道徳」における探究的な学びとICT活用①
本校では月に1回ミニ授業研究会を行い、普段の授業を変えることによって、学習者にとっての学びの充実にアプローチしています。7月は第2学年と第5学年の道徳科でした。
第5学年では、主題名「責任ある自律的な行動」、内容項目【A-(1)善悪の判断、自律、自由と責任】(教材名:「アップするの?」)の学習について、チームで研究を行いました。授業づくりの視点は次の3点でした。
・授業と家庭学習とをつなぐ準備学習が生み出す主体的な学び
・Google スライドによる他者参照を生かした学習展開
・情報リテラシーの育成
子ども達は学習をより深めるため、事前に家庭で教材を読み、「この教材の人物に共感できるか」という視点でGoogleスライドに書き込んでいました。このスライドは他者参照できるため、事前に友達の考えと自分の考えを比較したり、友達の考えに触れることによって改めて考え直したりしている子ども達もいました。
教師は準備学習のGoogleスライドで子ども達の思考過程や疑問や考えを予め把握し、教材研究をさらに深めた上で授業に臨むことができます。そのため、教師は子ども達に委ねながら、思考過程を把握し、考えを深める必要があるところで効果的に揺さぶったり問い返したりして学習をコーディネートしていくことができました。子ども達にとっても他者参照できるGoogleスライドは学習中のよい手がかりとなっており、子ども達は自ら他者参照を行い、友達の様々な考えを自らつかみ取り、自分の考えを再構築することに役立てていました。
本校では、学習の準備をしてくる家庭学習のことを準備学習と呼んでいます。この学級の道徳科の学習では、準備学習の内容や手立ては様々ですが、この準備学習によって探究的な学習の過程がより明確に位置付けられ、主体的な学びの姿や探究的な学びの姿が多く見られるようになってきました。もちろん、これらの学びの変容は、教師の教材研究と授業改善への努力あってこそのものです。
今後も、我々自身の教材研究力を高めながら、準備学習やICT活用による他者参照を有効活用し、子ども達の主体的な学びや協働的な学び、探究的な学びにつなげていこうと考えています。
小学校教育スタート期における探究的な学びとICT活用②
本校では、探究的な学習の過程を意識しながら、コンテンツ動画やデジタル教科書を取り入れた授業づくりにも取り組んでいます。
6月に実施した1年生の国語科「つぼみ」の単元では、単元の導入時にNHK for Schoolのコンテンツ動画を活用し、つぼみの開花動画を視聴するようにしました。その際、一時停止しながら、「これは、なんのつぼみでしょう。」「これは、○○のつぼみです。」と、教材の表現を取り入れながらクイズを行い、教材への関心を高め、知的好奇心を喚起するようにしました。その後、つぼみの写真から予想される花の様子をイメージしてJamboard上に描き、友だちと見合いました。この活動を通して、教材への関心がさらに高まるとともに読み進めていくことへの課題意識が生まれ、学習課題の設定につながっていきました。
学習課題の解決に向けた情報の収集、整理・分析の学習活動として、教材の三つの事例を一つずつ読み、構成を理解しながら内容を捉えていくため、デジタル教科書を活用しました。
一つ目の事例を読み進めながら捉えた構成を、デジタル教科書に書き込むようにしました。書き込み方が分かった子ども達は、次時のための準備学習として家庭でも教科書の内容を自分なりに読み進め、デジタル教科書に書き込み、分からないところを見つけるようにしていきました。この準備学習をもとに展開していった学習では、子ども達の学びに向かう姿が、より一層主体的、探究的なものになっていきました。
小学校教育スタート期における探究的な学びとICT活用①
1年生のスタートカリキュラムの時期は、幼児期に育まれた資質・能力や、意欲、主体性が発揮される姿を特に大切にしながら、子ども達の中からわきあがる意欲や好奇心を生かした働きかけに重点を置くことで、主体的な学びにつながるようにしています。その中で、子ども達は次第に、「もっと考えたいな。」「他にはないか考えてみよう。」という思いをもち、自分で考えたり周りの人にヒントをもらったりして課題解決していくようになります。本校では、これらの姿も探究的な学びにつながる大切な姿と捉え、このような学びを支えるための一人一台端末の活用を進めています。
4月中旬にタブレット端末を使うときの約束について学習し、その後、心と体の健康観察のために端末を活用しながらGoogle ClassroomやGoogle Formsなどの使い方に慣れるようにしていきます。5月に入ると、端末のカメラ機能や写真編集の機能を学習の中で少しずつ取り入れ、5月中旬には端末の持ち帰りとともにGoogle Classroomでの連絡・おたより配信を始めました。
「先生、タブレットで写真を撮ってもいいですか?」
端末活用に慣れてきた頃のことです。休憩時間に、あさがおの芽が増えたことに気付いた子ども達は、課題の解決に向けて最適な方法を見つけ、自ら動き出しました。手で書く・描くことももちろん大切にしていますが、端末を学習道具の一つとして使うことで学習方法の幅が広がっていることも間違いありません。アナログとデジタル、両方のよさを取り入れて探究的な学びにつながる学習を展開することで、子ども達自らが最適な方法を選択して課題解決していく力も育んでいるところです。