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たつの市立龍野東中学校

2025.10.27

第2回リーディングDX公開授業・講演会

令和7年10月10日(金)、本校は文部科学省リーディングDXスクール事業指定校として、全クラスによる公開授業を実施しました。
併せて、東京学芸大学教職大学院 教授・学長特別補佐であり、文部科学省リーディングDXスクール事業 企画推進委員長の堀田龍也教授を講師としてお迎えし、講演会を開催しました。
当日は、市内外の教育関係者を中心に300名を超える参加があり、授業および講演を通して、本校における教育DX推進の具体的取組を広く共有する機会となりました。以下は実施報告となります。


1. 目的

本校は、文部科学省リーディングDXスクール事業の指定を受け、1人1台端末の日常的な活用を基盤とした「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実に取り組んできた。
本公開授業では、GIGAスクール構想によって整備された環境下で、デジタル技術を教育活動の変革(DX)につなげる実践を全クラスで公開する。
また、本事業の企画推進委員長である堀田龍也教授を招聘し、最新の知見に基づく講演をいただくことで、本校および参加者の教育DX推進に向けた意識と実践力を高め、地域全体の教育の質向上に寄与することを目的とする。


2. 取組内容

(1) 公開授業(全クラス・全教員による実践)

全学年・全クラス(24学級 特別支援学級含む)において、1人1台端末を活用した授業を公開した。特定の教科や教員に留まらず、学校全体として端末活用が日常化・高度化している実践を示すことに重点を置いた。

<主な取組>

A. 端末の文房具としての活用と「個別最適な学び」の保障

数学:AI型ドリル教材などを活用し、生徒が自身の習熟度に応じた問題に取り組む時間を設定。教員は学習履歴(ログ)を確認し、個別の支援が必要な生徒へ指導を行った。

国語:自分の考えをまとめる際、手書きとタイピングを生徒が自由に選択。また、考えを視覚化し深める活動を取り入れた。

英語:スピーキングアプリを活用し、個々の発音や到達度に応じた反復練習の機会を確保した。

B. デジタルを活用した「協働的な学び」の深化

社会:グループごとに調査した内容を、共同編集可能なプレゼンテーションソフトを用いてリアルタイムで一枚の資料に集約。多様な意見を即座に比較・検討し、結論を導き出した。

理科:実験結果のデータを表計算ソフトに入力し、グラフ化。グループ間でデータを共有・比較分析することで、考察の妥当性を高めた。

総合的な学習の時間:探究活動の成果物をデジタルポートフォリオとして蓄積。生徒間での相互評価やコメント機能を活用し、多角的な視点で学びを振り返った。

C. 学習データの利活用

AIドリルなどの回答集計機能を活用し、クラス全体の理解度を瞬時に把握。その後の発問や学習活動の展開に反映させた。

(2) 講演会

講師: 堀田 龍也 教授

演題: 「次期学習指導要領に向けたリーディングDXスクール」

概要:
堀田教授より、GIGAスクール構想の第一段階(環境整備)が完了した今、1人1台端末をいかにして教育の質的転換(DX)につなげるかが重要であるとのお話をいただいた。
特に、リーディングDXスクール事業の核心として、「学習ログや校務データを利活用し、データ駆動型で指導改善や個別支援を行うこと」「デジタル技術によって教員の働き方改革(校務DX)を進め、子どもと向き合う時間を創出すること」の重要性について、国内外の事例を交えながら具体的にご指導いただいた。

(3) 研究協議(質疑応答)

公開授業および講演会に関し、参加者から活発な質疑応答が行われた。
実践的な議論が交わされ、堀田教授からも丁寧なご助言をいただいた。


3. 成果と考察

生徒の変容:生徒は1人1台端末を抵抗なく操作し、情報収集、思考整理、意見交換、発表といった一連の学習活動において、目的応じて効果的に活用する姿が見られた。特に協働学習の場面では、デジタルツールが時間や場所の制約を超えた意見共有を可能にし、学びの深化に寄与していた。

教員の意識改革:全教員が公開授業を実施したことで、ICT活用は「一部の教員の取組」ではなく「学校全体のスタンダード」であるとの意識が醸成された。また、堀田教授の講演を受け、単なる「端末活用」に留まらず、「データ利活用」や「校務DX」といった、より本質的な教育DXへの視座を得ることができた。

リーディングDX校としての役割:多くの教育関係者に本校の実践を公開し、意見交換を行うことで、地域のGIGAスクール構想推進のハブとしての役割の一端を担うことができた。


4. 今後の課題と展望

本日の成果と堀田教授からのご指導を踏まえ、以下の点を今後の重点課題とする。

学習データの本格的な利活用:授業支援システムやAIドリル等で蓄積される学習データを、教員がより積極的に分析し、エビデンスに基づいた指導改善や、真に「個別最適な学び」の実現に活用していく体制を整備する。

校務DXの推進:教員の業務時間を削減し、生徒と向き合う時間や生徒が主体的に学習に取り組むための教材研究の時間を確保する。

継続的な実践の発信:リーディングDXスクールとして、今後も先進的な実践と研究の成果を地域内外へ継続的に発信し、日本の教育DX推進に貢献していく。

2025.6.26

第1回リーディングDX公開授業・講演会

1.はじめに

本校は、文部科学省より「リーディングDXスクール」事業の指定を受け、「令和の日本型学校教育」が目指す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を通じ、すべての生徒が自らの可能性を最大限に引き出せる教育の実現に向け、全校体制でICTの活用を推進しております。この度、本校の取組の一環として、日頃の教育実践の成果を公開し、多くの教育関係者の皆様と知見を共有することで、我が国の学校DXをさらに前進させる一助となることを目指し、公開授業及び講演会を開催いたしました。本報告では、その取組内容と成果についてご報告いたします。

2.実施概要

令和7年6月17日(火)に、全24クラスでの公開授業と講演会を実施いたしました。当日は、文部科学省 学校DX戦略アドバイザーであり、春日井市教育委員会 教育研究所 教育DX推進専門官でいらっしゃる水谷年孝氏を講師としてお招きし、本校の取り組みに対してご指導をいただくとともに、貴重なご講演を賜りました。

3.取組内容

当日の中心的な取り組みである公開授業は、GIGAスクール構想のもとで実現する「個別最適な学び」と「協働的な学び」を主題としました。全学年・全24クラスにおいて、1人1台端末を基盤とした授業を実践し、各教科の特性に応じてICTを効果的に活用することで、生徒一人ひとりの学びを深める授業デザインに挑戦しました。

個別最適な学びの充実に向けては、AI型ドリル教材等を活用して生徒がそれぞれの習熟度やペースで学習を進めたり、1人1台端末で自らの問いを探究したりする学習を展開しました。思考ツールやデジタルノートで考えを可視化することで、教員が個々の学習状況を的確に把握し、適切な支援を行う場面も見られました。

同時に、協働的な学びの深化にも取り組みました。協働学習支援ツールを用いて多様な意見をリアルタイムで共有・構造化したり、プレゼンテーションソフトの共同編集機能を使ってグループで一つの成果物を創り上げたりするなど、対話的で一体感のある学びを活性化させました。生徒同士が教え合い、学び合う「ピア・ラーニング」も促進され、ICTがそのための効果的な手段として機能していました。参観者からは、「生徒が主体的にいきいきと活動している姿が印象的だった」「ICTが学びの本質に向かうためのツールとして自然に活用されていた」といった感想を多数いただきました。

公開授業後には、水谷年孝氏より「学校DXが拓く新しい教育の可能性」と題してご講演いただきました。国の教育DX政策の最新動向や先進事例をご紹介いただき、ICTは目的ではなく、あくまで生徒の学びを豊かにする「手段」であることの重要性をご教示いただきました。講演後の質疑応答では、教職員から実践に即した多くの質問が寄せられ、活発な意見交換を通して、今後の学校DX推進へのビジョンを確固たるものにする大変貴重な機会となりました。

4.成果と今後の展望

今回の取組を通して、生徒たちには学習への主体性や探究心、仲間と協力して課題解決に取り組む意欲が一層高まるという変容が見られました。教職員にとっても、全教職員が授業を公開し、専門家から指導・助言をいただくことで、授業改善への機運が醸成され、学校DX推進に対する共通理解と当事者意識を深めることができました。さらに、本校の取組を広く発信し、多くの教育関係者と課題や成果を共有できたことは、リーディングDXスクールとしての責務を果たす上で大きな一歩になったと考えております。

今後は、本実践で得られた成果と課題を全教職員で共有・分析し、さらなる授業改善に繋げてまいります。教員間のICT活用指導力の平準化と向上を目指した研修の充実、そして効果検証に基づいた本校独自のDX推進モデルの構築を推し進める所存です。本校はこれからも、リーディングDXスクールとして、「令和の日本型学校教育」の実現を牽引するべく、実践と研究に邁進してまいります。

2025.4.23

令和7年度 第1回研修会 リーディングDXスクール事業 セミナー

この度、たつの市立龍野東中学校区4校(龍野東中学校・小宅小学校【指定校】神岡小学校・誉田小学校【協力校】)は、令和7年度(2025年度)文部科学省リーディングDXスクール事業の推進にあたり、令和7年4月14日(月)に第1回研修会を開催いたしましたので、その概要をご報告いたします。本研修会は、本校のDX推進に向けたキックオフとして位置づけ、アドバイザーの先生方のご指導のもと、具体的な実践に向けた学びを深めることを目的としました。

【アドバイザー】
・堀田 龍也 教授 (東京学芸大学教職大学院)
・佐藤 和紀 准教授 (信州大学学術研究院教育学系・信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター)

【研修内容】

学校視察(午前)
堀田教授、佐藤准教授のお二方に小宅小学校における、現在のICT環境整備状況や授業での活用状況をご視察いただきました。先生方からは、今後の取り組みに向けた貴重なご意見やご示唆をいただきました。

グループワーク(午後)
午後からは、龍野東中学校・小宅小学校の先生方にご参加いただき、合同でのグループワークを実施しました。テーマは「教科書の構造化」とし、各教科における教科書の見方・効果的なICT活用や、児童生徒の主体的な学びを引き出すための教材構成について、活発な意見交換を行いました。小・中学校の連携を見据え、系統的な学びの実現に向けた共通理解を図る有意義な時間となりました。

講演会(午後)
グループワークの後、佐藤和紀准教授よりご講演をいただきました。背景や先進的な実践事例を交えたお話に、参加者一同、教育DXへの理解を深め、具体的な取り組みへの意欲を高めることができました。

【成果と今後の展望】
第1回研修会は、著名なアドバイザーの先生方のご指導、ならびに小・中学校連携のもと、本校区のリーディングDXスクール事業の第一歩として、大変実り多いものとなりました。「教科書の構造化」という実践的なテーマに取り組むことで、教員一人ひとりが明日からの授業改善に繋がる具体的なヒントを得ることができたと感じています。
今回の学びを土台とし、アドバイザーの先生方からのご助言をいただきながら、本校ならではの教育DXを推進し、その成果を発信してまいります。今後とも、本事業へのご理解とご協力をお願い申し上げます。