たつの市立龍野東中学校
第1回リーディングDX公開授業・講演会
1.はじめに
本校は、文部科学省より「リーディングDXスクール」事業の指定を受け、「令和の日本型学校教育」が目指す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を通じ、すべての生徒が自らの可能性を最大限に引き出せる教育の実現に向け、全校体制でICTの活用を推進しております。この度、本校の取組の一環として、日頃の教育実践の成果を公開し、多くの教育関係者の皆様と知見を共有することで、我が国の学校DXをさらに前進させる一助となることを目指し、公開授業及び講演会を開催いたしました。本報告では、その取組内容と成果についてご報告いたします。
2.実施概要
令和7年6月17日(火)に、全24クラスでの公開授業と講演会を実施いたしました。当日は、文部科学省 学校DX戦略アドバイザーであり、春日井市教育委員会 教育研究所 教育DX推進専門官でいらっしゃる水谷年孝氏を講師としてお招きし、本校の取り組みに対してご指導をいただくとともに、貴重なご講演を賜りました。
3.取組内容
当日の中心的な取り組みである公開授業は、GIGAスクール構想のもとで実現する「個別最適な学び」と「協働的な学び」を主題としました。全学年・全24クラスにおいて、1人1台端末を基盤とした授業を実践し、各教科の特性に応じてICTを効果的に活用することで、生徒一人ひとりの学びを深める授業デザインに挑戦しました。
個別最適な学びの充実に向けては、AI型ドリル教材等を活用して生徒がそれぞれの習熟度やペースで学習を進めたり、1人1台端末で自らの問いを探究したりする学習を展開しました。思考ツールやデジタルノートで考えを可視化することで、教員が個々の学習状況を的確に把握し、適切な支援を行う場面も見られました。
同時に、協働的な学びの深化にも取り組みました。協働学習支援ツールを用いて多様な意見をリアルタイムで共有・構造化したり、プレゼンテーションソフトの共同編集機能を使ってグループで一つの成果物を創り上げたりするなど、対話的で一体感のある学びを活性化させました。生徒同士が教え合い、学び合う「ピア・ラーニング」も促進され、ICTがそのための効果的な手段として機能していました。参観者からは、「生徒が主体的にいきいきと活動している姿が印象的だった」「ICTが学びの本質に向かうためのツールとして自然に活用されていた」といった感想を多数いただきました。
公開授業後には、水谷年孝氏より「学校DXが拓く新しい教育の可能性」と題してご講演いただきました。国の教育DX政策の最新動向や先進事例をご紹介いただき、ICTは目的ではなく、あくまで生徒の学びを豊かにする「手段」であることの重要性をご教示いただきました。講演後の質疑応答では、教職員から実践に即した多くの質問が寄せられ、活発な意見交換を通して、今後の学校DX推進へのビジョンを確固たるものにする大変貴重な機会となりました。
4.成果と今後の展望
今回の取組を通して、生徒たちには学習への主体性や探究心、仲間と協力して課題解決に取り組む意欲が一層高まるという変容が見られました。教職員にとっても、全教職員が授業を公開し、専門家から指導・助言をいただくことで、授業改善への機運が醸成され、学校DX推進に対する共通理解と当事者意識を深めることができました。さらに、本校の取組を広く発信し、多くの教育関係者と課題や成果を共有できたことは、リーディングDXスクールとしての責務を果たす上で大きな一歩になったと考えております。
今後は、本実践で得られた成果と課題を全教職員で共有・分析し、さらなる授業改善に繋げてまいります。教員間のICT活用指導力の平準化と向上を目指した研修の充実、そして効果検証に基づいた本校独自のDX推進モデルの構築を推し進める所存です。本校はこれからも、リーディングDXスクールとして、「令和の日本型学校教育」の実現を牽引するべく、実践と研究に邁進してまいります。
令和7年度 第1回研修会 リーディングDXスクール事業 セミナー
この度、たつの市立龍野東中学校区4校(龍野東中学校・小宅小学校【指定校】神岡小学校・誉田小学校【協力校】)は、令和7年度(2025年度)文部科学省リーディングDXスクール事業の推進にあたり、令和7年4月14日(月)に第1回研修会を開催いたしましたので、その概要をご報告いたします。本研修会は、本校のDX推進に向けたキックオフとして位置づけ、アドバイザーの先生方のご指導のもと、具体的な実践に向けた学びを深めることを目的としました。
【アドバイザー】
・堀田 龍也 教授 (東京学芸大学教職大学院)
・佐藤 和紀 准教授 (信州大学学術研究院教育学系・信州大学教育学部附属次世代型学び研究開発センター)
【研修内容】
学校視察(午前)
堀田教授、佐藤准教授のお二方に小宅小学校における、現在のICT環境整備状況や授業での活用状況をご視察いただきました。先生方からは、今後の取り組みに向けた貴重なご意見やご示唆をいただきました。
グループワーク(午後)
午後からは、龍野東中学校・小宅小学校の先生方にご参加いただき、合同でのグループワークを実施しました。テーマは「教科書の構造化」とし、各教科における教科書の見方・効果的なICT活用や、児童生徒の主体的な学びを引き出すための教材構成について、活発な意見交換を行いました。小・中学校の連携を見据え、系統的な学びの実現に向けた共通理解を図る有意義な時間となりました。
講演会(午後)
グループワークの後、佐藤和紀准教授よりご講演をいただきました。背景や先進的な実践事例を交えたお話に、参加者一同、教育DXへの理解を深め、具体的な取り組みへの意欲を高めることができました。
【成果と今後の展望】
第1回研修会は、著名なアドバイザーの先生方のご指導、ならびに小・中学校連携のもと、本校区のリーディングDXスクール事業の第一歩として、大変実り多いものとなりました。「教科書の構造化」という実践的なテーマに取り組むことで、教員一人ひとりが明日からの授業改善に繋がる具体的なヒントを得ることができたと感じています。
今回の学びを土台とし、アドバイザーの先生方からのご助言をいただきながら、本校ならではの教育DXを推進し、その成果を発信してまいります。今後とも、本事業へのご理解とご協力をお願い申し上げます。
